海外の製作サークルより、複数の東方二次創作クリエイターに対しインタビューを行った電子書籍
「東方幻想外史 ~ Chronicles of the Outer World」が公開されております。
弊サークルの親須ミルカおよびガガワ イチもインタビューを受けておりますので、
英文ではありますが、ぜひご覧下さい。
【英文URL】
https://online.fliphtml5.com/prjyb/ngyo/#p=126
以下、許可を頂いておりますので、上記インタビューの日本語原文verを掲載致します。
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親須ミルカ編
1. 原点や影響
――主にどのような活動をしているなど、軽い自己紹介をお願いいたします。
親須ミルカです。
東方Projectの原作ゲームに倣った形式の二次創作ゲームをよく作っております。
サークル「海鮮堂(仮)」の代表とされる場合が多いですが、
実際は時期や作品により、大きく製作メンバーが変わるため、
全ての作品を通して関わっているメンバーは、私を含めて恐らくおりません。
今回は便宜上、最も多くの作品に関わっているであろうメンバーということで、
インタビューに答えさせて頂きます。よろしくお願いします。
――東方Projectに興味を持ったきっかけ、そして二次創作を作ろうと思ったきっかけは何でしょうか。
昔、友人がパソコンでプレイしていた「東方萃夢想」を見たのが、
恐らく最初の出会いだったと思います。
その後「ニコニコ動画」の全盛期となり、霧雨魔理沙など代表的なキャラについては、
いわゆるMAD動画などで非常に多く見かけるようになりましたね。
その時は、まだ「何かマニアックなもの」くらいの印象だったのですが…(笑)
本格的に知ることになったのは、当時人気を博していた、いわゆる
「ニコニコツクールゲー」「ニコニコオールスター」と呼ばれていた動画を通してでした。
このジャンルの作品は、ニコニコ動画で流行していた様々な作品の人気キャラクターを
共演させるのが特徴だったのですが、私が偶然これにハマった結果、東方project自体の世界観や
キャラクターの奥深さを知り、ようやく興味を持つに至りました。
まぁ他のクリエイターさんに「二次創作から入った」なんて言ったら怒られるかも知れません(笑)
――原作から受けた影響、二次創作を作る上でのスタンスや付き合い方はどのような感じでしょうか。
二次創作をする身で言うのもなんですが、私は、ZUN氏が原作において出される、
独特なセリフ回しやストーリーの流れ、それからアートワーク…
…言うなれば「らしさ」を完全に再現することは不可能だと感じております。
無理に我々が完全再現を試みた所で、恐らくそれは多くの方にとって、
魅力的でない作品になってしまうことでしょう。
ですので、それらを研究したり、リスペクトしたりの努力はしますが、
我々の二次創作においては、原作の「らしさ」を我々なりに解釈した上で、
ある種の「二次創作らしさ」「私らしさ」を意識しております。
例えば「東方邪星章」においては、物語の核がキリスト教の神話になっており、
非常に有名な西洋の天使や悪魔も出て来ますが…さすがに原作ではこの展開は
今後も絶対に無いだろうと、プレイした方であれば感じて頂けますよね(笑)
私は私である以上「私らしさ」を抑えて創作することはできません。
同様に、多くの作り手の「らしさ」がそれぞれ宿るからこそ、二次創作ゲームには、
原作にはない別の種類の面白さや可能性が秘められているのではないでしょうか。
ただ私たちの作るものが、ZUN氏が原作でやろうとしている内容と被ってしまうことは、
本意ではありませんので、そういった点では気をつけています。
まあそれでも、「東方錦上京」が発表された時、我々の「東方真珠島」との
共通項の多さに慌てたことなどはありましたが…。
2. 創造のプロセスと技術面
――一つの作品に対し、初期段階から完成までの一般的な流れはどんな感じでしょうか。
ありがたい事に海鮮堂(仮)においては、私が脚本やキャラクターといった、作品の全体像を決めて、
他のメンバーに「このような作品で行きたい」と提示するポジションをやらせて貰えています。
ですので、まずは概要や…細かい所では各キャラクターの台詞や設定、スペルカード名といった
テキスト部分を、最初期に私がほとんど全て書き上げてしまいますね。
その後、BGMやスクリプト、ドット等、分野ごとに優れた技術を持つメンバーに作業を委託します。
そこから完成までは、私はマネージャー的なポジションになる場合が多いですね。
第3作「東方桃源宮」の頃までは比較的楽だったのですが、
年月の経過と共に、創設時のメンバーも徐々に卒業しており、近年は作品ごとに
全く異なる製作メンバーになる(ならざるを得ない)事が多くなりました。
この辺りの事情により、新作の発表ペースが鈍い状態が続いており、
お待ち頂いている方には申し訳ない所ですが…
例え時間がかかっても必ず次回作も完成させていきたいと思っております。
――時間が経つにつれ、自分の技術・技法が変わってきたことがありますか?
先ほどの話と関係して来ますが、私一人では海鮮堂(仮)の素晴らしいゲームは作れませんので、
各分野の担当メンバー、或いは協力して下さる方の希望や好みなどを聞き、極力それを
脚本に反映させる事で、メンバーのモチベーションを保つ…といった意識をするようになりました。
例えば「東方桃源宮」で邪馬台国が登場した点や、同じく「東方魔宝城」で忍者が、
「東方真珠島」で輝夜が登場した点などは、他のメンバーの希望を踏まえてシナリオを構築した
からになります。この辺りは、最初期の「東方邪星章」の頃は考えなかった所ですね。
――ゲームバランスや難易度の調整はどのようにアプローチしますか?
弾幕などをデザインする上、何か持論があったりしますか?
私自身は原作のような弾幕シューティングゲームは、並程度の腕前しかありません。
そのためバランス調整は専門のメンバーに一任しているのですが、近年では最低限、
Easy・Normalの難易度については、無理のないものになっているか確認し、要望はしています。
古典的なシューティングゲームにおける「たった一度の被弾でミス」
「何度も死んではやり直し、パターンを構築しないと難しい」という基本設計は、
レベルデザインの親切な近年のゲームに慣れている方には、非常にシビアなものだろうと感じています。
私自身、いわゆる初見殺しの弾幕に成すすべもなくやられ、意欲を削がれた経験も多々ありますし、
「東方Projectのファンだけど、原作ゲームは難しくて…」という方も多く見て来ました。
ですので近年の海鮮堂(仮)では「エンディングを見るのは簡単、極めようとすると極悪」という
レベルデザインを意識しております。
具体的には、難易度HardやLunaticはどれほど難しくしても良いと前置きした上で、
難易度Easy~Normalは全体的に、弾幕がそれほど厚くなく、また初見殺しの少ない
優しい調整を要望したり…。ほか、無限に被弾しながらゲーム続行できる
「東方魔宝城」の「伝説の勇者モード」や、「東方真珠島」で難易度Extraに
通常版とEasy版の二通りを搭載したのも、同様の思想に基づいたものですね。
勿論これらは、ZUN氏の作られる原作を否定する意図はありません。
極論してしまえば、私の「折角考えたシナリオを最後まで見て欲しい」という
我儘と言っても良いのかも知れませんね(笑)
―― 既存の世界観や設定の中で新しい物語を書く時、どのようなアプローチを使いますか?
原作のキャラクターに焦点を当てたり、という所で言えば、地味な点ですが
「霊夢や魔理沙といったおなじみの原作キャラクターが主人公」という部分は固辞していますね。
海鮮堂(仮)のゲームには、原作に存在しないオリジナルキャラクターが多数登場しますが、
当然ながらオリジナルですので、作中設定はともかく、メタな視点では原作キャラより格が低い存在です。
ですからオリジナルキャラクターは、原作の主人公である霊夢や魔理沙を苦戦させることはあっても、
物語の流れとしては決して勝つことはなく、必ず倒されるようにしています。
仮に物語上の理由があろうとも、オリジナルキャラクターが霊夢を倒してしまったとしたら、
いわゆる「メアリー・スー」とされ、恐らくプレイした方々からの共感は得られにくいと思います。
原作キャラクターを主人公とする理由はもう一つあって、言ってしまえば
「私程度の実力の者がそこを変えてしまったら、もはや東方二次創作ではなくなる」という点です。
(この問題をクリアして有名な作品を執筆しておられる方は本当にすごいと思います。)
お話を作る時には必ず「その異変内容は、幻想郷という舞台でなければできないものか」を
少なからず意識しています。そうでなければ「もうオリジナルでやれよ」という話であり、
「東方〇〇〇」という名前のゲームを名乗る勇気は、少なくとも私には持てません。
纏めると、霊夢たちが主人公という形式は、私なりの最大限の原作へのリスペクトであると言えますね。
3. コミュニティーと合作
――他の東方好きな人や二次創作のコミュニティーから、どのような影響を受けてきましたか?
至ってシンプルに、作品をポジティブにご評価頂き、更に応援も頂くことで、
10年以上という長きに渡り、活動を続けられるだけのエネルギーを受け取っています。
ただこの「影響を受ける」というテーマについては…少し関係のない部分も、
この際ですからお話ししたいのですが…私は、他作品から非常に影響を受けやすいクリエイターです。
実は皆さんに言えないような駆け出しの時代は、自分が触れた漫画やゲーム等から節操なく、
元ネタが容易に分かるようなキャラや設定、あるいはストーリー展開を自作品に取り込んでいました。
(取り込んでいました、と言うよりは、無意識にやってしまうと言った方が正しかったと思います。)
真剣に作ったつもりのオリジナル作品でも、いつの間にかそうなってしまう事も多々あり、
私はなんと、私らしいものを作る才能が皆無なのだろうと途方に暮れたものでした。
本当の意味で自分に自信が持てるようになったのは、親須ミルカという現在の名を名乗り、
オリジナル創作から東方二次創作に転向してからでした。
理由は…もちろん国内外の多くの方々に作品をご評価頂いたこともありますが、
先ほどお話しした私の特性が、原作を真似ることが大前提となる二次創作においてこそ、
非常に相性が良いものだと分かったからです(笑)
話を元のテーマに戻しますと、やはり私が原作キャラクターに抱いているイメージは、
様々な二次創作作品等の影響を受けている部分が多分にありますが、昔と違うのは、
原作と照らし合わせて、それら一つ一つについて「海鮮堂(仮)の作品で表現するのが適切か」を
考えられるようになった所でしょうか。
言わば、上手に真似ができるようになった、と言えるかも知れません(笑)
――共同制作の体験がありますか?
他のクリエイター達との繋がりには、どのようなきっかけがあったりしますか?
最初はほぼ私一人と、ごく少数の協力者のみで小さなゲームや動画を製作しておりましたが、
幸運にも知名度が上がった結果、多くの方が協力して下さるようになり、私だけでは不可能な
「原作スタイルのSTG」…のちの第1弾「東方邪星章」の製作が実現しました。
これによって更に知名度が上がり、更に多くの方が協力して下さるようになるという
サイクルが回り始め、現在まで活動を続けることが出来ているという感じです。
この経験から、クリエイターにとって人脈は非常に重要な要素だと感じていますが、
その人脈を新規開拓・維持する為には、とにかく作り続けることが重要であると実感しています。
ほかに共同制作と言えば…有名な所ですと「東方魔宝城」は、他のサークルさんからの依頼で、
私がシナリオを執筆した企画になっていますね。
知っての通り、魔宝城は凄まじい熱量で素晴らしいゲームにして頂けましたので、
非常に嬉しく思っており、よくどさくさで海鮮堂(仮)の代表作かのように宣伝させて頂いております。
実は他にも何作か、外部からシナリオ執筆の依頼を受けて書かせて頂いたものがあるのですが…
私の知る限り、何年経っても魔宝城以外は未だに公開されていないようです。
うーん…仲の良い方以外は有償依頼にしようかな…。
4. 難題や乗り越えたこと
――制作時間が長い作品では、どのようにモチベーションを保ちますか?
海鮮堂(仮)の作品はどれも製作期間が年単位ですので、大事なことですね(笑)
結論から言うと「最終的に完成すれば良いので、急ぐことはない」のスタンスでやっています。
メンバーの方も私も、それぞれの私生活や、やりたい新作ゲーム等もありますし、
時には人生が激変するような出来事が起き、しばし製作から離れざるを得ないこともあります。
そのような如何ともしがたいリアル事情の際に製作を急かしては、モチベーションの低下や、
あるいは責任感に耐えかねて役目を放棄といった事態になりかねません。
私は、他のメンバーを信じておりますので、気長に、成果を出して下さるのを待つようにしています。
(時には望ましい結果にならず、そのままお別れとなることもありますが…。)
私がよくSNSで、海鮮堂(仮)作品の世界観について「優しい世界」と自己評価するように、
ここで「優しくない」スタンスを取るのは、モチベ管理といった側面を超えて、
私の根源的な価値観に関わって来るので、ちょっと考えられないことですね。
この辺りについては、少し後で改めてお話しします。
――始まったばかりの頃に、知っておきたかったことがありますか?
作品を知って貰う為のノウハウでしょうか。
現代では、どんなに作品そのものが素晴らしいクオリティを誇っているとしても、
美麗な公式サイト・紹介ムービーだとか、SNSなどでの広報といった手段がなければ、
まず作品に辿り着き、触れて貰うことすらままなりません。
作品に速やかに触れて貰えなければ、感想もなく、良い評判が広がることも期待できないわけですね。
海鮮堂(仮)の場合、職人気質のクリエイターばかりで構成されていることもあり、
活動初期どころか、現在でもここが明確な弱点だと感じております。
5. 今までとこれから
――自分の作品に対して、何か期待や希望がありますか?
これから東方やその二次創作を知る人に対して、何か伝わってほしいことがあったりしますか?
今回に限らず色々な所、あるいは作中で既にお話ししている内容なのですが、
私はZUN氏の描く原作の世界観には、ある種の「優しさ」を感じています。
忘れられ、消えゆく存在を生かそうとする結界の存在や、相手を殺害しないスペルカードルールなどは
分かりやすい所ですし、激闘を繰り広げた異変の主犯も、大抵霊夢たちとすぐに打ち解けて、
何だかんだ幻想郷の枠組みの中で大人しく活動するようになりますよね。
私より詳しい方には「お前は表面的な所しか見えていない」とかお叱りを受けるかも知れませんが(笑)
海鮮堂(仮)においても、この「優しい世界」の表現は常に意識されておりますので、
多くの方に共感して頂ければなぁと日々思っております。
遠い昔は私も、オンライン対戦ゲームやトレーディングカードゲーム等で、苛烈な勝ち負けの世界に
身を置いていた時期があるのですが、私の実力不足ゆえか、殺伐とした世界の中で、よく言われる
「競技を通して相手を認め合う気持ち」だとかの、人間的に成長するようなきっかけは掴めませんでしたし、
その頃はリアルでの人間関係も、ぎくしゃくする事が今より多くありました。
そうした経験の反動もありまして、もはや「優しさ」は創作の話のみならず、
現在の私を私たらしめる、最も大事な要素と言っても過言ではないと考えております。
簡単にまとめれば、私が東方Projectの世界に、よく言われる「奥深さ」だけではなく、
私にとって正義である「優しさ」を感じたことが、私が東方二次創作を作り続けている理由になります。
風の噂では、ZUN氏が我々の作品を偶然目にした際
「こんなに作れるならオリジナルでやればいいのに(笑)」といったことを仰ったそうですが…
すみませんがもう少しやらせて下さいとしか言いようがありませんね(苦笑)
――東方二次創作を今後も作りたいと思いますか?
もしそうなら、将来絶対にやってみたいことなどがありますか?
もちろん作りたいですね!即答です!
そして、将来絶対にやってみたいことですか…。
私は今、邪星章・導命樹・桃源宮・魔宝城・真珠島に続く、原作スタイルのSTGを、
新たに一つ構想しており、既にシナリオからキャラクター、果ては台詞からスペルカード名まで、
およそテキスト部分は全て完成済の状態です。
過去作と同様、今回も非常に自信のある内容となっており、ゲーム化を成し遂げられれば、
きっとまた皆さんに楽しんで頂けると確信しております。
今まで卒業していった海鮮堂(仮)メンバーと同様、私も創作活動の長期化の中で実年齢を重ね、
ライフステージの変化と共に活動継続が難しくなりつつありますので、そう遠くない未来に
クリエイターを卒業する事になるでしょうが…
その前に是が非でも、その作品は相応しいクオリティをもって世に送り出したいですね。
…ただ同様に、ご存知の方も多かろうと思いますが、斬舞滅貴氏原作の外伝「東方磯祈堂」については、
突発的に発生した不幸な人手不足から、公開を延期せざるを得ない状況が続いております。
こちらは私が進捗管理を担当していない為、具体的なことを何ともお約束できない点は歯痒いのですが、
順番としてはこちらが先になりますね…。
――これから二次創作を作りたい人へのアドバイスや一言などがありますか?
ここまでの質問で全部答えてしまいましたね…(笑)
ですのでここは、改めて要点をまとめ直す形にさせて下さい。
東方Projectのそれに限らず、二次創作というのは「原作をリスペクトする姿勢」と同時に
「二次創作らしい、原作では見れない要素」をいかに見せるか、
高度なバランスが求められる、特殊な創作形態であると感じております。
少し前でもお話ししましたが、二次創作を行われる際は
「それはその作品のキャラや世界観を借りないと表現できない内容か」を
突き詰めて考えてみると良いかも知れません。
また、二次創作に限らない話ですが、素晴らしい作品を作ろうとすると、多くの場合、
各分野の専門的な知識・技術や、長期間のモチベーション維持が課題となり、
応援して下さる他のクリエイターや、熱心なファンの方の存在が必要不可欠になって来ます。
もし幸運にもそうした方と出会えた場合、その奇跡を大切にして欲しいというのが私の願いです。
最後に…どんな小ぶりな作品でも良いので、とにかく作りましょう!
最初から壮大なスケールの作品を目指して、結局一作も完成しなかったクリエイターも、
素晴らしい作品を世に出しつつも、その後に活躍が無かったために忘れられたクリエイターも、
これまでに沢山見て来ました。
まあ後者は、ここしばらく新作を出せていないので、少し私自身にも耳が痛い言葉ですがね(笑)
天才と呼ばれるような他のクリエイターさんと比べると、私は不器用で堅物な、
いわゆる凡才の部類かと思うのですが、そもそも世の中、大半の人は凡才です。
凡才なりに、まだまだこんな風に頑張れるというのをお見せしたいと考えておりますので、
今後ともよろしくお願いします。
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ガガワ イチ編
1. 原点や影響
―― 主にどのような活動をしているなど、軽い自己紹介をお願いいたします。
ガガワ イチと申します。
サークル「海鮮堂(仮)」作品でデザイン原案、ED絵などを担当させてもらってます。
代表作は「東方鬼葬剣 ~ Infinite Blade Pavilion」の脚本、キャラ設定、デザイン原案などです。
――東方Projectに興味を持ったきっかけ、そして二次創作を作ろうと思ったきっかけは何でしょうか。
東方永夜抄が出た年(2004年)に大学のときの後輩が遊んでいるのを見て興味を持った感じです。
初めて遊んだのが東方妖々夢ですね。
和風の世界観と、聞いていて心躍る音楽に一気に引き込まれました。
二次創作を作ろうと思ったきっかけというか、
東方projectを遊び始めた時期から
東方お絵かき掲示板やホームページでのイラスト公開、pixivなどで東方絵を描いたりはしていました。
東方風の二次創作ゲームに関わったきっかけだと、
海鮮堂(仮)の「東方導命樹~ Mystical Power Plant.」の制作時期に
当時イラスト担当されていた多麻さんに声をかけてもらったことがきっかけです。
――原作から受けた影響、二次創作を作る上でのスタンスや付き合い方はどのような感じでしょうか。
雰囲気を寄せるという意味では、
主にキャラクターデザイン原案や脚本的な話になるのですが、和洋折衷であることだと考えています。
日本の神様モチーフだからといって全部和風の衣装を着せない、とか。
ところどころ海外のファッションの意匠を入れるとか。
また、あくまで弾幕ごっこ・・・・殺し合いをしているわけではないので
あまり殺伐とした尖ったデザインなどは避ける傾向にあります。
脚本面だと日本の四季・・・・季節感を重視すること、
キャラクターが異変を起こす理由→実際に起こる異変、道中に巻き込まれるキャラクターたちを
どう組み立てるか?だと考えてます。
あえて避けようとした面だと
元ネタ・・・・神様だったり歴史上の偉人だったり
知名度の高すぎるモチーフを選ぶのは避けてます。
時事ネタなんかも使い所が難しいですね。
2. 創造のプロセスと技術面
――一つの作品に対し、初期段階から完成までの一般的な流れはどんな感じでしょうか。
海鮮堂(仮)の作品ですと基本的にチームでの制作なので、
親須ミルカさんが制作進行の進捗オブザーバーのようなことをやってくれております。
(メンバーは顔を合わせたことがない方ばかりなので各メンバーへの連絡、作業依頼など)
私のわかる範囲だと、
企画書(脚本の流れ、ボス原案)
↓
脚本完成、キャラデザ完成
↓
プログラマ班、グラフィック班、BGM班の各作業
↓
すり合わせ×n
↓
3面までの体験版完成、紹介動画
↓
4面~6面までのプログラマ班、グラフィック班、BGM班の各作業
↓
すり合わせ×n
↓
6面までのバージョン完成、紹介動画
↓
EXステージのプログラマ班、グラフィック班、BGM班の各作業
↓
完成
という流れがほとんどだったと思います。(2年~3年かかる)
――制作途中の頃の資料や試作の中に、制作の流れの例として共有してみたいものがありますか?
特にないですが、
デザインだけ担当しているとエフェクト、背景などがどこまでプログラマ側で表現できるのか把握しきれないので
1面から6面の背景の雰囲気だけを風景や写真などで伝えるということは重要だと考えています。
また、海鮮堂(仮)作品だと複数人のデザイナーがいますので
コンペ形式で意見を交換したりなどは時間をかけています。
――作業する時、主にどのような機材やソフトを使いますか。
最近だと絵を描くソフトはクリップスタジオだけです。
機材といってもワコムの安いペンタブレットくらい。
ラフを描くだけならクロッキー帳と鉛筆。
――時間が経つにつれ、自分の技術・技法が変わってきたことがありますか?
自分の変化って気づきにくいのでよくわかりません。
――既存の世界観や設定の中で新しい物語を書く時、どのようなアプローチを使いますか?
東方鬼葬剣を例にしますが、
東方原作(妖々夢)と似たような異変(特定の季節がなくなる)を起こすことと、
東方原作(地霊殿)と同じ舞台に行く(地底に行く)、
異変を起こした黒幕の目的が「何者かを復活させる」ということ・・・・(原作だと妖々夢や星蓮船)
原作での追体験をミキシングさせるということをやっています。
逆にどういう異変が起こると幻想郷が一大事になるのか?
霊夢や魔理沙がどう動くのか?
異変解決後のキャラクターたちは幻想郷とどう向き合うのか?
ということまで考えるとキャラクターの内面まで深堀りできると考えています。
3. コミュニティーと合作
――他の東方好きな人や二次創作のコミュニティーから、どのような影響を受けてきましたか?
二次創作ゲームでの影響はあまりありません。
漫画家のFLIPFLOPsさんが過去に出された同人誌「異聞妖々夢」「異聞紅魔郷」の影響をかなり受けていて、
東方のゲームでのシナリオを漫画のストーリーにこう落とし込むのか・・・!?と驚嘆しました。
ああいう余韻が残るものをゲームシナリオに逆輸入できると良いなと考えています。
――共同制作の体験がありますか?他のクリエイター達との繋がりには、どのようなきっかけがあったりしますか?
東方魔宝城が共同制作?になるのかな。
他クリエイターの繋がりだとX(旧Twitter)で二次創作イラストを描いていた方々とのやりとりとか。
――周囲からの反応、感想、批評などに対して、どのようなスタンスや受け取り方をしますか?
原作と追突事故を起こしたらシンクロニシティすげー、と思うこと
4. 難題や乗り越えたこと
――二次創作を作る中で、芸術面や技術面で一番大変だったことは何でしょうか?
デザイン面だと、技術と時間をどれだけかけても
人の心に残るキャラクターになるか?というのはまた別の問題だということ。
脚本もそうだと思います。
どうしてもゲーム部分が味付けの9割だと考えてしまうので・・・・
――制作時間が長い作品では、どのようにモチベーションを保ちますか?
自分の生み出したキャラクターの三次創作をする
――始まったばかりの頃に、知っておきたかったことがありますか?
中学と高校のときに古典と日本史をもっと勉強しておくべきでした。
5. 今までとこれから
――自分の作品に対して、何か期待や希望がありますか?
これから東方やその二次創作を知る人に対して、何か伝わってほしいことがあったりしますか?
年月が移り変わっても何らかのきっかけで遊んでくれる人がいると幸いです。
――東方二次創作を今後も作りたいと思いますか?もしそうなら、
将来絶対にやってみたいことなどがありますか?
脚本とかデザイン原案だけなら。
図書館をテーマにしたような話を書いてみたい。
――これから二次創作を作りたい人へのアドバイスや一言などがありますか?
興味本位で色々やってみたら良いと思います。
インタビュー企画、声をかけてもらいありがとうございました。